2011/06/23 | | By: Atsushi Sawa

中国: 可能性を秘めた市場

最も経済成長が早く、今やアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国となった中国。スポーツ産業もこの国の経済成長を支える、重要な産業の一つである。中国政府は5カ年計画を発表し、スポーツ産業の市場価値をいっそう高めていこうとしている。中国におけるスポーツ産業の市場は、なにも中国の経済成長を支えていくためのものでなく、海外のスポーツ産業や、スポーツ関連の産業にとっても可能性のある市場である。
姚明(ヤオ・ミン)



オリンピックや世界大会での高い実績により、卓球やバドミントンといったスポーツが中国を代表するスポーツだと思われているが、バスケットボールも中国において、最も人気のあるスポーツの一つである。事実、中国はアメリカ、カナダに次いで、世界で3番目にバスケットボールを始めた国であるという歴史があり、現在では世界一の競技者人口を有する国となっている。2002年に姚明(ヤオ・ミン)がNBAに参加して以来、中国のバスケットボールの人気はいっそう高まっている。NBAは中国市場がNBAの収益にとって重要な市場であると判断し、中国に住むより多くの人々に試合を生中継で見てもらえるよう、中国のテレビ局への投資を行い、放送網を拡張させた。また、NBAは関連商品を中国で販売するために、卸売りや小売店と契約を交わし、販売網も拡大した。さらにNBAは、他の企業にも中国における市場を展開する機会を与えている。2007年に開催されたthe NBA's China Tourは、トヨタやコカ・コーラをはじめとする11社の協賛によって行われた。この興行により、NBAは中国全土に知名度を広めることに成功し、協賛した11社も中国市場の拡大に成功した。
中国で開催されたX Games Asia

近年、中国政府はアクション・スポーツを中国におけるスポーツ産業のなかでも最も発展する分野であると位置づけ、発展に力を注いでいる。中国で開催されたX Games Asiaは中国の人々に対してこれまでに経験したことのない、全く新しいスポーツ大会を提供した。この大会は、スポーツ、音楽、文化が融合したものであり、特に中国の若い世代に大きな影響を与えた。これを受け、中国政府は上海に世界最大のスケート・パークを建設し、若い世代のアクション・スポーツへの参加を促進しようとしている。しかし、現在このスケート・パークの利用者の大部分が外国人であり、中国におけるアクション・スポーツの人気と競技者人口の拡大には、まだ時間が必要である。

2008年の北京オリンピック以降、世界的な景気の後退は中国のスポーツ産業にも少なからず影響している。しかし、衣料メーカーをはじめとするスポーツ関連の産業は成長を続けている。またスポーツジムに通うなど、スポーツに参加する個人の数も経済成長に伴い増加している。世界的な景気の後退は続いているが、中国のスポーツ産業の市場は、中国の圧倒的な人口と経済成長によりまだまだ発展する可能性のある市場であると言える。

0 comments:

コメントを投稿