2011/11/04 | | By: Atsushi Sawa

オリンピック:開催国の経済を活性化させることができるのか?

2018年冬期オリンピックの開催地、韓国の平昌(ピョンチャン)
7月7日、2018年の冬季オリンピックの開催国が韓国に決定した。韓国はオリンピックを主催することによって270億ドルの利益を上げることができると予想している。また、オリンピック開催による潜在的な経済効果は、2002年の日韓で共同開催されたサッカーのワールドカップの2倍、そして1988年のソウルオリンピックの4倍であると見積もっている。今回の韓国のように、多くの国々が自国の経済発展を目的としてオリンピックの招致に力を注いでいる。しかし、オリンピックが主催国に莫大な経済効果を与えるとは言い難い。



オリンピックを主催することによる経済効果は交通機関などインフラ整備への投資、諸外国からの観光客の増加、雇用拡大、そして短期的な経済成長である。主催国は競技場、交通機関、宿泊施設の新設、または改築が要求され、このようなインフラ設備の整備は主催地の産業を活性化させることができる。オリンピックの主催というのは一大事業であり、オリンピックの主催が決定する数年前より準備を進めなければならない。このような準備期間はインフラ整備などで雇用を増大させることができる。オリンピックの開催期間においても海外からの観光客により、地元経済に利益を与え、また国としても税収入の増大により利益を上げることができる。

しかし、オリンピック主催に対するマイナス面も存在する。スペインのバルセロナはオリンピックの開催によってバルセロナを訪れる観光客の増加に成功し、現在も多くの海外観光客がこの地を訪れている。しかし一方で、オリンピック主催だけによる現地GDPへの経済効果はたったの0.03%の成長をもたらしただけであった。したがって、オリンピック主催による膨大な経済発展を見込むのは難しいと考えることができる。特に長期的な経済成長をオリンピックの主催に期待することは難しい。しかし、インフラ設備が整っていない開発途上国にとって、オリンピックの主催は諸外国からの投資を受ける機会の促進など、経済発展をしていく上で効果的なきっかけになるということができるだろう。

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