2012/02/25 | | By: Atsushi Sawa

インタビュー:中務敏宏

※この記事は2011年10月18日にWorld Sports Todayに投稿された記事(Toshihiro Nalatsuka: A Japanese Basketball Player)の日本語版である。

写真:パナソニックトライアンズ

中務敏宏選手は2009年シーズンより日本バスケットボールリーグ(JBL)に所属している、パナソニックトライアンズにて活躍している。

JBLは日本において、日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)に次いで人気の高いプロバスケットボールリーグであり、前身であるスーパーリーグの名残もあり、企業チームが多く参加している。JBLとbjリーグは日本におけるバスケットボールのプロリーグ化において異なる見解を持っていたため対立関係にあったが、近年は関係正常化に向けた動きが見られる。



中務選手とは高校時代の同級生で、短期間ではあるが一緒にクラブ活動をしていたこともあり、高校一年生の頃より交友関係を持っている。彼は高校のバスケットボールチームのエースとして活躍し、チームを大阪大会優勝にそして全国大会8位に導いた。彼の友好的な人柄もあり、高校卒業後の今でも交友関係を続けることができ、このたびSkypeを通じてではあるがインタビューを実施することができた。

まず始めに、「筑波大学を卒業後、なぜ日本で最も人気の高いbjリーグのチームではなくパナソニックトライアンズへの入団を決めたのか?」という疑問を中務選手に尋ねた。

中務選手はプロバスケットボール選手として、bjリーグでプレイするのが一つの目標であり、パナソニックトライアンズ以外にも企業チームやbjリーグからのオファーもあったと説明してくれた。

しかしbjリーグにこだわることなく、中務選手のことを一番評価しているチームに参加したいと考えていた。彼がトライアンズへの入団を決断した決め手は、金銭的に一番高いオファーがあったことだけでなく、bjリーグのチームの中務選手に対する態度が中務選手だけでなく周囲の人々に対しても敬意を表するものではなかったためであったと語ってくれた。

中務選手はプロバスケットボール選手としての活躍以外にも、実業家としての成功という大きな夢を持っている。実業家としての夢を叶える為には、現在のJBLでは規約違反となってしまう為、規約違反とならないbjリーグへ移籍する機会を待っている。

写真:パナソニックトライアンズ
中務選手はトライアンズとプロ契約を結んでいるため、毎シーズン、契約更新および報酬についての交渉を行わなければならない。交渉において、中務選手はチームによる彼への評価が正当なものであるかを話し合う。試合勝利数、チケット売り上げへの貢献度はもちろん、中務選手はチームで初めてブログやTwitterといったソーシャルネットワークングを活かしてファンに対して情報を発信し、彼自身の、そしてチームのファンを増やした。それはチケット売り上げの増加という形で実質的に現れている。中務選手本人によると、限られた試合出場時間での貢献度のみで評価されるのではなく、このようなファン増加といった試合外での貢献度も評価を高める上で重要な武器であるという。彼が話してくれた中で印象的だったのが、「チームが選手に対して正当な評価や敬意をもたないと、選手はたとえ給料をもらっていても試合に勝とうという気にならない」と語ってくれたことだ。やはり、チームと選手の信頼が勝利につながるということを改めて実感した。

最後に「チームが選手と契約する際、双方にどのような利益があるのか?」と尋ねた。中務選手の答えは簡潔で、チームへの利益は勝利数に関係なく選手と契約すること自体であるというものだった。一方、選手にとっての利益はまず、バスケットボールができること、そして、チームに正当な評価をしてもらうもらうという点も重要であると答えてくれた。「チームの為に選手が存在するのではなく、チームも選手も対等な関係であるようにチームの構造を変えていくことが、日本のバスケットボールを発展させていく上で必要だ」と、今後の日本のバスケットボール界のあり方についても語ってくれた。


現在、中務選手はパナソニックトライアンズにおいて3年目となるシーズンを送っている。今後の活躍に心から期待している。

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